僕のウチにもクジラがやってきた

2015年7月1日(水)

07:30

朝っぱらから息子が変なことを言い出す。父よクジラを作ってくれ。何をいってるのだ息子。これは病院に連れて行くしかないと思いながら再度問いただしてみた。すると右手から折り紙を手渡し、「父よこれでクジラを作ってくれ」という。

なんだ折り紙で作れと言う意味か。病院を検索しようとしていた手を止め、「折り紙 クジラ」を検索する。こういう時、ネットは便利だなと強く思う。わざわざ動画でクジラの作り方をアップしてくれている人がいた。

さっそく動画を見ながらクジラを作る。数分後、なんなく完成。完成したクジラを息子に手渡す。すると息子は走ってどこかいってしまった。クジラをどうするのか少し気になったが体が動くほどの興味はなかったので、パソコンと向き合い作業を始める。

するとまた息子がやってきた。今度はお船を作ってくれという。また折り紙で作れと言うことだなと思い、「折り紙 船」で検索。もちろん、こちらも船の作り方の動画がアップされていた。

息子は僕が作っているのを横で見ながら出来上がるのを待つ。こちらもものの数分で出来上がった。早速、息子に手渡す。また息子は走り去っていった。また作業に戻る。

08:10

静かだな。いつもは騒がしい朝なのだが、少し違和感を覚えて僕は振り返ってみる。息子は画用紙に何かを書いていた。さっきの折り紙はもう飽きてしまったのかと思い、特に気にすることもなく作業に戻る。

08:50

息子は静かだったが妻が騒ぎ出す。幼稚園に行く時間じゃ!さっさと着替えろ!と。うるさい日常に戻る。僕の後ろでいつもの日常が繰り広げられている中、僕もいつもの日常を過ごす。

準備ができたようで、妻は子供たちを連れて幼稚園へ向かった。誰もいない数十分のコーヒーブレイク。僕は立ち上がりソファーに腰をかけた。

ふと、あることに気づく。何か赤く四角いものが壁に貼られていた。なんだろうと思いながら近づいてみると、それは息子の作品だった。

折り紙のクジラと船

赤い画用紙に海と空を描きその上に先ほど作った折り紙のクジラと船が貼られていた。クジラには目が書かれており、あきらかにイっている目だ。

船にクジラが引き上げられている。背景は真っ赤な画用紙。どうしてもつい最近話題にあった和歌山県太地町のイルカ追い込み漁を思い出す。他にもクジラといえばシーシェパードに妨害されたり、4月にオランダ・ハーグの国際司法裁判所において、国際捕鯨委員会で認められていた「調査捕鯨」が中止に追い込まれたりと、色々と話題になっている一件だ。

まさか、息子はこの作品でなにか世界に訴えようとしているのか?僕はこの作品の真意を知りたくて息子が帰ってくるまでウズウズしていた。

15:00

息子がついに帰ってきた!これほど息子の帰りを心待ちにしていたことがかつてあっただろうか!この作品の答えが解き明かされる瞬間に僕は立ち会えるのだ。

僕は息子にゆっくりと問いかける。この作品は何を訴えている作品なのか?と。息子は早々と小さな口を開いた。「お船の荷物をクジラさんが運んだいる」作品だと。

僕は一直線に作業に戻った。

Archive

Calendar

2015年08月
1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031

デザイナーズ旅館一覧